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【コールセンター管理者向け】「電話口で罵倒され、無言になった…」SVができるオペレーターの心の守り方

2025年7月3日6分で読める業界別対策

最終更新日:2025年7月3日

モニタリングしているヘッドセットから聞こえるのは、お客様の怒声だけ。
先ほどまで懸命に対応していたオペレーターの声が、完全に途絶えた。
まるで時間が止まったかのような、あの静寂――。

コールセンターのSVであれば、誰もが一度は経験するかもしれない、背筋が凍る瞬間です。

これは、単なるクレーム対応ではありません。オペレーターの心が、言葉の暴力によって破壊されかけている**「緊急事態」**です。

この記事は、そんな緊急事態に直面したSVが、オペレーターの尊厳と心を守り抜き、組織としての責任を果たすための、具体的な行動手順を解説します。


【初動60秒】即時介入と物理的隔離

▶︎ 行動1:躊躇なく「強制介入」する

SVの最初の仕事は、オペレーターをこれ以上、攻撃の矢面に立たせないことです。モニタリングで異常を察知したら、1秒も躊躇せず、強制割り込み機能で電話を奪ってください。

<強制介入時のスクリプト例>
「お客様、大変申し訳ございません。わたくし、責任者の〇〇と申します。ただいま担当者が体調不良となりましたため、この後のお電話はわたくしが代わらせていただきます。」

この一言で、SVは「盾」となり、オペレーターを守るという会社の意思を明確に示します。

▶︎ 行動2:オペレーターを「完全に」切り離す

チャットやアイコン、あるいはジェスチャーで、オペレーターに**「ヘッドセットを外し、すぐに席を立って休憩室へ」**と指示を出します。中途半半端な指示はNGです。声が聞こえる限り、攻撃は続きます。物理的に完全に隔離することが何よりも重要です。

▶︎ 行動3:目的を「問題解決」から「通話の終了」に切り替える

SVに電話が代わった時点からのゴールは、もはやお客様の問題解決ではありません。オペレーターを守り、これ以上不当な攻撃を許さないことです。冷静に、しかし断固として、通話を終了させましょう。

<通話終了時のスクリプト例>
「お客様のご意見は、わたくしが責任を持って承りました。しかしながら、これ以上の電話での対応は、弊社の規定により致しかねます。本件につきましては、後日、担当部署より改めてご連絡させていただく場合もございますので、本日はこれにて失礼いたします。」

【対応直後】心の傷を広げないための「心理的応急処置」

▶︎ ステップ1:「安全な場所」で「問い詰めない」

休憩室などで合流した際、絶対に**「何があったの?」「大丈夫?」と問い詰めてはいけません。** 被害者は強いショック状態にあり、状況を説明する力も残っていません。

まずは、「大変だったね。よく耐えたね。もう大丈夫だから。あなたのせいじゃないよ」と、労いと承認の言葉だけをかけ、温かい飲み物を渡すなど、安心できる環境作りに徹してください。

▶︎ ステップ2:「沈黙」という正常な反応を「肯定」する

オペレーターが最も恐れているのは、「対応の途中で黙ってしまったこと」を責められることです。SVは、その恐怖を先回りして取り除かなければなりません。

「何も言えなくなるのは、心が自分を守ろうとする正常な防衛反応だよ。誰にでも起こりうること。決して、あなたの弱さじゃない」
この一言で、オペレーターは自分を責めることから解放され、回復への第一歩を踏み出すことができます。

【翌日以降】組織の「回復力」を高める仕組みづくり

一人のSVのファインプレーで終わらせず、組織の仕組みとして定着させることが、経営者・管理者の最も重要な仕事です。

  • 1. 「エスケープ・ルール」を明確化する
    • 危険を感じたオペレーターが、SVにSOSを出すための具体的なルール(例:特定のチャットスタンプを押すなど)を定め、**「助けを求めることは、プロのスキルである」**という文化を醸成します。
  • 2. 「振り返り」の目的を再定義する
    • 対応の振り返り(デブリーフィング)を行う際は、決してオペレーターの対応を評価してはいけません。目的は、「オペレーターが何を感じ、どうして欲しかったか」を共有し、「会社として、次に何ができるか」を学ぶことです。
  • 3. スキルアップ研修を導入する
    • 精神論ではなく、断るための具体的な言い回しや、相手の感情に巻き込まれないための音声コントロールなど、実践的なスキル研修を定期的に実施し、オペレーターに「武器」を渡します。

あなたのコールセンターは、消耗していませんか?

SVの皆様、毎日お疲れ様です。
しかし、いつまでもSV個人の英雄的な対応に頼り続ける組織は、必ず疲弊し、優秀な人材から離れていきます。

全てのオペレーターが、安心してSOSを出せること。
全てのSVが、迷わずオペレーターを守れること。

そんな当たり前が、当たり前に機能する組織を創ることこそ、真の顧客満足と、従業員の定着に繋がるのではないでしょうか。

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