カスハラ対策奨励金東京都|40万円支給

明日から使える!カスハラ対策ロールプレイング研修のシナリオ&実践ガイド

2025年7月2日9分で読める研修・教育

最終更新日:2025年7月2日

「マニュアルは作ったけど、どうやって従業員に浸透させればいいんだろう?」
「研修が必要なのはわかるけど、具体的に何をすればいいか分からない…」

そんな悩みを抱えるご担当者様へ。

この記事では、座学だけでは身につかない「実践的な対応力」を養うための、ロールプレイング(ロープレ)研修の具体的な進め方と、そのまま使えるシナリオをセットでご紹介します。

なぜロープレ研修への投資が「儲け」に繋がるのか?

経営者の皆様へ。90分の研修で、従業員の時給分のコストがかかる、と思われるかもしれません。しかし、その投資は、以下の形で何倍にもなって会社に返ってきます。

  • 離職率の低下による、採用・育成コストの削減:

    • 従業員が安心して働ける職場は、定着率を高めます。スタッフ一人の採用・育成にかかる数十万円のコストが削減できるとしたら、研修費用はどれほど安価でしょうか。
  • 対応品質の向上による、顧客満足度とリピート率の向上:

    • 毅然としつつも誠実な対応は、大多数の良識あるお客様からの信頼を高めます。「この店はしっかりしている」という評判は、リピート率を確実に向上させます。
  • 訴訟リスクの低減による、将来の損失防止:

    • 一件でも大きなトラブルに発展すれば、その損害は数百万円にのぼる可能性があります。研修は、そのリスクを未然に防ぐための、最も効果的で安価な「保険」なのです。

この研修は、単なる従業員教育ではありません。会社の守りを固め、攻めの土台を作る、極めて重要な経営戦略なのです。

この研修は、テストではありません

まず、参加者の皆さんにお伝えしたい大切なことがあります。この研修は、あなたの対応力を評価したり、点数をつけたりする場では一切ありません。

これは、理不尽な要求から**あなた自身の心と体を守るための「護身術」**を、みんなで一緒に練習する時間です。上手い・下手は関係ありません。安心して、どんどん失敗してください。その失敗の一つ一つが、あなたと同僚を守るための貴重な財産になります。

カスハラ研修の進め方(全90分モデル)

時間 内容 ポイント
15分 アイスブレイクと座学 なぜ研修を行うのか、目的を共有する。マニュアルの要点をおさらい。
45分 ロールプレイング 3人1組(お客様役、スタッフ役、観察役)で実施。
20分 フィードバック 観察役からのフィードバックと、全体でのディスカッション。
10分 決意表明とクロージング 研修の振り返りと、明日からの行動宣言。

そのまま使える!ロープレシナリオ3選

3人1組(お客様役、スタッフ役、観察役)で実施します。

シナリオ1:「レジでの長時間拘束」

  • お客様役の設定:
    • あなたは、購入した商品の値段が、想定より高かったことに腹を立てています。「店員の態度が悪い」と、レジの前で大声でスタッフを問い詰めてください。「誠意を見せろ」「店長を呼べ」と要求をエスカレートさせてください。
    • 演じる上でのワンポイントアドバイス: 恥ずかしがらずに、少し大げさなくらいでOK!ただし、特定の個人を攻撃するような人格否定の言葉(例:「バカ」「使えない」など)は使わないようにしましょう。あくまで「理不尽な要求をする人」を演じるのが目的です。
  • スタッフ役のゴール: ①お客様をレジ前から別の場所へ誘導できるか。②安易に謝罪せず、「事実確認します」と伝えられるか。③上長への報告・連携ができるか。
  • 観察役のチェックポイント: 最初の声かけは適切だったか?お客様の感情に引きずられていないか?NGワード(「できません」「無理です」)を使っていなかったか?

シナリオ2:「理不尽な交換要求」

  • お客様役の設定:
    • あなたは、数週間前に購入した商品が「気に入らない」という理由で、返金・交換を要求しています。レシートはなく、「顔を覚えていないのか」とスタッフを責めてください。「規定では…」と断られると、「融通がきかないな!」と怒ってください。
    • 演じる上でのワンポイントアドバイス: スタッフ役がうまく対応できたら、少しずつ態度を軟化させるなど、反応に強弱をつけてあげると、よりリアルな訓練になります。
  • スタッフ役のゴール: ①まず共感の姿勢(「お気に召さなかったのですね」)を示せるか。②「規定により応じかねます」と、会社のルールを盾に断れるか。③代替案(「よろしければ、お客様相談室の連絡先をご案内します」など)を提示できるか。
  • 観察役のチェックポイント: クッション言葉を効果的に使えていたか?相手のペースに乗らず、冷静に対応できていたか?個人ではなく「会社として」の対応を一貫できていたか?

シナリオ3:「SNSでの暴露を匂わせる脅し」

  • お客様役の設定:
    • あなたは、予約時間に少し遅れたら、サービスを断られてしまいました。「たった5分の遅刻だろ!」「この対応を全部SNSに書いてやるからな」と、スマートフォンを操作しながら脅してください。
  • スタッフ役のゴール: ①脅しに動じず、冷静に対応できるか。②「お客様のご意見として承ります」と、相手の土俵に乗らない返答ができるか。③要求そのもの(予約時間通りに来てもらう)の正当性を、丁寧に伝えられるか。
  • 観察役のチェックポイント: 視線をそらさず、落ち着いた態度を保てていたか?相手の脅しに乗って、安易な約束をしなかったか?

フィードバックの進め方(KPT法を使ってみよう!)

観察役は、以下の3つの視点でメモを取り、スタッフ役に伝えてあげましょう。必ず「Keep(良かった点)」から伝えるのがポイントです。

  • Keep(良かった点・続けたいこと)
    • 例:「最初の『お気持ちは分かります』という一言で、場の空気が少し和らいだのが良かったです」
  • Problem(改善点・課題に感じたこと)
    • 例:「相手の目ではなく、手元を見て話している時間が長かったのが、少し気になりました」
  • Try(次に試したいこと)
    • 例:「次は、相手の言葉を一度復唱してから、こちらの意見を伝えるように挑戦してみたいです」
    • ポイント: Problemは、Tryとセットで伝えることで、前向きな改善アクションに繋がります。

決意表明とクロージング

研修の最後に、参加者一人ひとりに「今日の学びを活かして、明日から具体的にどんな行動を一つ始めるか」を短く宣言してもらいましょう(コミットメント宣言)。

  • 宣言の例: 「お客様に何か言われた時、すぐに謝るのではなく、まず『一度持ち帰ります』と言うクセをつけようと思いました。」

全員の宣言が終わったら、ファシリテーターは「その勇気ある一歩を、会社は全力でサポートします。お疲れ様でした!」という、力強い承認と感謝の言葉で締めくくってください。

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